デジイチにプリズム

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マクロ・ステレオもデジタル撮影へ

 記録のメカニズムがフィルム式だろうがデジタルであろうが,立体写真は同じように撮れます.
 しかし,まぁ,主力機の交代というのは感慨ぶかいものがあり,最低額機とはいえ新旗艦の購入自慢もせねば,という気ぃもするのんでござリます.

 なおこの頁を書くために,フィルム式の方を見直していたら,用語が一つ欠けていることに気づきました.マクロ領域でのステレオ撮影,その写真のことを接写立体写真と言ったり,立体生態写真と言ったり,苦労しています.これらは[マクロ・ステレオ]で良いように思います.


オリンパス引退

 筆者は2005年の前半まで,虫や花の写真はコレでしか撮れないからと,フィルム式一眼レフで撮り,従来どうり同時プリントもしてもらっていました.同時プリントはあくまで確認のためであって,何かに活用したり,加工したり,保存したりは,普通,デジタル画像ファイルで行うようになっていました.使うコマはどの段階かでスキャナにかけるわけです.いつから,というわけではなく,だんだんそうなってきたのであります.おそくとも2005年には,そういうつもりでフィルム式で撮っているのでした.
 で,現像に出す段になって,自分でスキャンする手間を考えると,しだいにCD-Rへの一括焼きこみも注文してしまう事が多くなってきて,やがて電子化/未電子化のネガが混在しだし,ややこしいので2005年に入ってからはフィルム式でも現像の際は全てデジタル化するようになりました.現像と同時プリントに加えて[CD-Rへの焼きこみもお願いします]なのです.何たるハイコスト.ネガフィルムは叩き売り状態で爆安でも,そのあとにものすごくお金が掛かるのです.

 2004年に[レンズのフィルタマウントがφ49mmである]事を選定基準に買ったコニカミノルタの DiMAGE A2 は,(モノラル/ステレオを問わず)マクロ撮影にはほとんど役に立たず[やっぱし一眼レフやないと…]と思わせる効果を発揮しただけでした.こいつを買った事で逆にフィルム式一眼レフのOM2000を重用する結果となり,これで虫や花のマクロ・ステレオ写真を撮ってはDPE屋に貢献しておったわけです.


マクロ・ステレオ仕様の主力フィルム式一眼レフ(先代)

 ところが,2005年の梅雨,とうとうOM2000が不調になりました.フィルムの巻き上げがうまく行かず,巻いたはずなのにシャッターが切れなかったり,撮れていても2コマが重なって写っていたりすることがありました.その頻度が徐々に増大.やがて一本に一ヶ所は二重写しが出現する始末.直して使おうという発想はなく,ついに虫花用の一眼レフもデジタル化を決意したのです.

 もともと虫撮りではオートフォーカスは役に立ちません.というか要らん事ばっかりして電池を消耗するだけの有害な機能です.またプリズムを装着してのマクロ・ステレオ用ですから,焦点距離も固定して使うので,ズームも役に立ちません.間違って触ると厄介なだけです.虫や花ではズームではなく[近づく/遠ざかる]で解決します.こういう使い方なのでズームもオートフォーカスもなしの先代で全く問題なしでした.これの代替機としてのデジイチ導入です.

 デジタル一眼レフ(デジイチ)の撮像面積のごたごたは以前(2004年に DiMAGE A2 を買った頃)と変ることなく,さらに混沌とした状況です(詳細は別頁).様々な仕様が乱立,似たような数値でも微妙に異なっていたりします.
 いずれにしても従来のフィルム用のレンズを使って小さな撮像素子(CCD,CMOS)で撮るのはモッタイナイ事で,その分小さく軽いデジイチ専用のレンズを作るべきだということになり,レンズメーカーはAPS-Cサイズのレンズを発売しはじめました.すると今度は撮像面積が大きめの機種ではケラレが生じて,ええ事なし.
 こうなると35mmサイズに固執する理由はなく,APS-Cが実用価格帯での標準と割り切ると,性能と価格(本当は優先順位が逆)で絞ると文句なしにペンタックスの *ist DSシグマの 50mm マクロになりました.性能というのは,ファインダーがよく見える事.APS-Cサイズ程度,できれば広い面積で写してくれる事です.レンズはプリズム(バリミラージュ)をつけて丁度左右像が撮れるマクロで,そんなに明るくなくて安いやつ,という事です. *ist DS は35mm版換算比 1.53 です.よく[画角1.6倍]と書いてありますが,[1.5のニコンとは少し違う]という意味のようです.まぁ,焦点距離50mmのレンズが35mmフィルム式でいうとだいたい80mmレンズ相当(50×1.53=76.5)で,この組み合わせで行けそうだというわけです.


マクロ・ステレオ仕様のデジタル一眼レフ

 "*ist DS"は同社製で後発(弟機種なのか下位機種か不明)の"*ist DL"との関係でなんか微妙な立場の機種らしく,異常に安く売られていました.比較すれば絶対"DS"だと思いますが,世の中が間違っています.すぐ後に"DS2"が発売される(その事は知りませんでした)こともあり,店頭価格も叩き売り状態だったようです.そのおかげでレンズ込みで前年の"DiMAGE A2"より安く,5桁で買えてしまいました(オイオイ,毎年こんな散財してるのか?).

 ちなみに先代の方も,売ろう/捨てよう,という発想はなく,修理した上で死蔵しそうな気がします.


ホニャラリスト

 最初の疑問."*ist DS"という名前の読み方がわかりません.お店で触らせてもらったり,購入を宣言するときは[コレ]で済むわけですが,電話で在庫確認とかするとき困るでしょうね.小さい声で[ペンタックスの…ィスト]とか誤魔化す人続出か?メーカーのサイトを見に行くと"*ist"と書いて[イスト]と読むのだそうです.こんな宣言が書いてあります;

■ 新ブランド「*ist」について
コンピュータ用語で、あらゆる文字の代わりをする”ワイルドカード”のひとつ「*(アスタリスク)」と、<〜する人><〜主義者>といった意味を表す英語の接尾語「−ist」を組み合わせた、当社一眼レフカメラの新ブランドです。
「*」は色々な語句に置き換え可能で、例えば、Artist(芸術家)、Liberalist(自由主義者)、Idealist(理想主義者)、Naturalist(自然主義者)、Humanist(人道主義者)といった人たちを表す言葉にすることができます。
「*ist」はこういった”自分の考えにこだわりを持ち、前向きに生きるすべての人たちへ”という意味合いを込めて命名しました。

つまりこれは[フォトグラファーお断り]宣言であって,[全てのホニャラリストに!]のようなのです.ファシストとかテロリストとかアナキストとかですね,あとエントモロジストにも.

 レンズのフィルター径が55mmなので直接バリミラージュの55mmを付けても良いのですが,厚いほど色収差が激しくなる(おそらく)なので,ステップダウンリング(55mm→52mm)を付けて既に持っていた52mmバリミラを装着しました.じつはこのステップダウンリングは珍品です.梅田の某大型店に電話で在庫確認したところ一個(つまり展示品)しかありませんでした.ステップアップと間違えられそうなので[ステップ・ダ! ウ! ン!]と強調して確認.唯一の商品をお取り置きしてもらっていそいそ買いに行ったという貴重品です.数週間後に再び行ってみると補充されていませんでした.今後は受注生産かも.

オジロアシナガゾウムシ
400*226 (75%)

シロコブゾウムシ
400*210 (75%)

ホシホウジャク
400*200 (75%)

ホソヒラタアブ
400*200 (75%)

 この[デジイチ+マクロ+バリミラ]の使用方法はフィルムカメラの場合(別頁)とほとんど同じです.マニュアルフォーカス,絞り優先で,f5.6くらいに開けて撮ります.中央に黒い縦帯が出来たり出来なかったりするので露出は場合ごとに調整します.どちらかと言えば暗い方が立体視しやすいのも同様です.
 実際にいろいろ撮ってみると,やはり文明の利器,これはなかなか良いです.慣れるに従い,とても便利です.デジカメ+ステレオ・アダプターの頁で要約した;

  1. 結果がその場で確認できる
  2. 感度が変えられる
  3. 経済的である
はそのまま当てはまります.
 マクロ・ステレオの場合,ピントが合ってなかったり,手ぶれしてたりする失敗が多いです.虫の場合には目ぇ(複眼)にピントを当てるのが定石なのですが,野外の実践では風などによりかなり外します.しかし,フィルム式の場合は経済的理由でそんなに何枚も取り直しできません.[まぁ一枚くらい当ってるやろ]と思うわけです.撮った時点では希望的観測も入ってますからね.  ところがデジカメの場合,チャンス!と思えばその場で何枚も撮って,あとで拡大して失敗のコマを捨てる戦術を採れます.露出を変えて試行錯誤もできるし,オート・フォーカスを使わなければ電池もけっこうがんばります.ストロボ版も撮っておく気になります.
 このテの立体写真は被写体が適正露出かややアンダーで,背景がさらに暗めが良いのですが,植物などの場合,ストロボを使うとこの差を出しやすく,昼間でも常套的に使えそうです.
 感度を変えられるのも,やはり非常に便利で,暗いなら暗いなりの立体感が出せます.ISO3200まで写るそうです.夜行普通列車[山陰]をネオパン400で撮ってパンドールで増感現像したなぁ…(遠い眼).というわけで夕方遅くまで,虫が見えなくなるまで撮り回ってしまいます.その後,一長一短のコマの山を前に取捨選択に一苦労.

 [フィルム一眼+マクロ+バリミラ]から[デジイチ+マクロ+バリミラ]への移行で,予想外だった点は,やたらデカくなってしまった事です.特にレンズがデカすぎる.そ,そうか,モーターが入ってるのか! 重さは気になりませんが,嵩が高いです.携帯をためらう限界を越えた感じがします.取り回しが怖いです.先代の[ちょっと持って行こか]の感じではなくなりました.

 これは機種特異的な事ですが,*ist DS は電源投入時はともかく,オートパワーオフから復帰するごとに[太陽光]だの[感度400]だのの撮影条件設定が表示され,じれったいです.それと,しょっちゅうバックライト液晶表示に電池つこてたらパワーオフしてる意味ないし.
 液晶モニタで画像を再生チェックする際,文字等の表示がオフにできなません.立体写真だと中央以外(ふつう左右ペアで)見たい部分があるので,これは不便です.
 再生モードで拡大の際,指定の倍率まで一気に拡大してくれるのは大変便利です.怒涛撮り→取捨選択の戦術において特に.
 あと,電源が単三4本(など)で,記録メディアがSD,重たくても良いのか軽くしたいのか分からない仕様です.メディアがSDはメーカー内での統一規格でしょうかね.こいつも電池のフタが最初に壊れそうです.


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