デジカメの特性

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 デジタル・カメラ(以下”デジカメ”と呼びます)がどんどん充実してきたので,2004年になって,フィルム一眼レフ同等の目的で使いはじめました(ガチャいのは35万画素の頃から使ってましたが).そのうちデジカメの一眼レフを買おうと思っていたのですが,いつまでたってもCCDの大きさがどうの,35ミリ換算でいくらのと言っている状態ですので,この段階のボディに縛られてレンズや関連機材を買い揃える気がおこりません.そこでズームレンズ付きの固定レンズ付きのを買いました.それを立体写真用,特にステレオ・アダプターを付けた場合の使用感を書きます.

 モノはコニカミノルタの DiMAGE A2 というやつです.レンズは35ミリ換算で 28-200mm のズームレンズが付いています.選定理由は,いちおうマクロ撮影もできる事と,レンズのフィルタマウントがφ49mmである事です.つまり,現有のペンタックスのステレオ・アダプター珍器バリミラージュが装着できるからです.
 本当は一代前の A1 を買うつもりだったのですが,売り切れで逃してしまいました.新型のCCDを搭載しただけ(て,デジカメの最重要部品ですけど)で価格もすんごく上がってました.メーカーは”8.0メガ高画質”などと自慢気です.そんな精緻な写真をとるわけではないのに…
 実際に使ってみると,マクロ機能は非常に限定的である事がわかりました.実質上,テレ端でしか使えず.平面写真でチョウ〜カブトムシの撮影くらいまでは便利ですが,もっと小さい虫には使えません.また,この状態でバリミラージュを装着しても適当なペア画像が得られないことが分かりました.プローズアップレンズを加えてみると色収差でギトギトになったり,ケラレができたりします.で,本機でのマクロ・ステレオはあっさり断念しました(のちに[*ist DS + 50mmマクロ + バリミラージュ]で実現).


デジカメにステレオ・アダプターを装着

 一方,ステレオ・アダプターを用いる立体写真の撮影をしてみると,これはなかなか良いです.慣れるととても便利です.具体的には;

  1. 結果がその場で確認できる
  2. 感度が変えられる
  3. 経済的である
という事です.
 これはこの機種特有の利点というよりは,デジカメ一般の利点というべきでしょう.それが立体写真撮影にはモロに反映します.特に結果が見られるのは(失敗の多い)立体写真撮影ではありがたい事です.ふりかえって考えてみるとフィルム式カメラでの撮影は普段から失敗が多いのです.そして失敗が多いからこそ念のためにと無駄に撮り過ぎています.


 撮影結果を液晶モニタで確認,両目で視れば立体に見える

 撮影自体はフィルム式とさほど異なるはずはなく,アダプタの水平を合わせ,撮影距離に合わせてズームして,左右のコマの幅を合わせます.露出は絞り優先のAEで,1段暗くしておきます.

 → 
アダプタは水平に

W  →   ←  T
ズームで幅を調整

 オートフォーカスにしておくと,勝手にとんちんかんな事をするので,たいていはマニュアル・フォーカスで合わせます.ファインダは液晶式で,メーカーは”世界初,92.2万画素の高精細電子ビューファインダー Super Fine EVF ”などとエラそうなことをぬかしておりますが,ぜんぜん見にくいです.一テンポ遅れ,しかも荒く,鈍いです.フォーカスリングは薄く操作しにくいです.それと,この手の電子式のフォーカスリング,振り切っても空回りしつづけるのが不誠実に感じます.要するにフォーカスは合わせにくく,ちょっと風が吹いていたりすると通常のマクロ撮影も困難です.
 マニュアル・フォーカス以外にオートフォーカスが2モード(ワンショットAF/コンティニュアスAF)あります.ワンショットの方は半押しにすると中央でフォーカスをあわせてロックする方式ですので,ステレオ・アダプターでは全く使えません(中央は真っ暗).コンティニュアスの方は,半押し中は指定のポイントをフォーカシングしつづける方式です.ポイントを指定できるので,これは使えます.ステレオ・アダプターでは左右1/4の所に被写体がくるので,当然そこを指定します.自動追尾機能は邪魔なのでオフにしておきます.

 → 
指定部分を拡大できるファインダ

 この機種にはマニュアル・フォーカス・モードのときにファンダの画像を3.3倍に拡大して表示してくれる機能があり,その拡大部分を指定することができます.露出もそこに合わすよう設定できます.これはステレオ・アダプターでの撮影には大変便利です.ズームして左右の幅を決めた後,拡大個所を右側1/4に設定しておけば,その中央に像をとらえている限り,左1/4にもとらえています.ピントが合い次第,左右の振れを気にせずにシャッターを切れるわけです.
 一眼レフにステレオ・アダプターを付けて撮影する場合,フォーカスとパンを同時に気にせねばならず,けっこう大変です.その意味で,本機では次元が一つ減った感じで非常に気楽にシャッターが切れます.

 写野の一部を拡大するなど,細工した画像をファインダに示すというのは一眼レフにはできない技で,デジカメならではのうれしい機能です.ただ残念なのは電源を切ると拡大表示領域指定が解除される(中央に戻ってしまう)事です.この指定はフォーカス・モードを変更しても残っていますが,電源オフで消失します.一方,コンティニュアスAFのフォーカシングポイントのほうは,逆に,電源を切っても残っているのにフォーカス・モードを変えると消失します.これてどういう論理なんでしょう?
 このマニュアル・フォーカス時の拡大表示機能は,ちょっと虐げられていて,ボタンが操作しにくい位置にあります.そもそもこのボタンはデジタル・ズーム用のもので,同じボタンにどちらの機能を割り振るか決めるようになっているのです.

 あと,気になるのは本機種の選定理由の一つであるフィルタマウント部分で,ここがプラスチック製である点です.ステレオ・アダプターの着脱を繰り返しているうちに削れてこないか心配です.

 ここで述べた[DiMAGE A2 + ステレオ・アダプター]による撮影と同等の事が,その後,[*ist DS + Loreo 3D lens in a Cap]でも行えるようになりました.画角(ズーム)の調整,水平の調整が不要なため後者(*ist DS)のほうが断然便利です.前者(DiMAGE A2)のアドバンテージはファインダー上で3倍拡大できる事程度.筆者的には DiMAGE A2 主力の時代は一年ちょっとで終焉です.


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